2009 年 35 巻 4 号 p. 337-343
1988年から2007年12月までに遊離肩甲骨皮弁を用いた一次再建例中,1年以上の経過観察が可能であった47例を対象として,再建後の咬合状態,食事の摂取について検討した。下顎の欠損はUrken分類を用いた。B,BSの狭い範囲の欠損では歯牙残存率が高く,顎義歯の装着なしでも常食摂取症例は多数であった。欠損範囲の拡大に伴い残存歯は少数となり,無歯顎となる割合は高率となった。そのため, 常食摂取率は欠損範囲の拡大に従って低下する傾向が認められた。特にRBSSB,BSSBの広範囲な欠損症例では,歯槽部がほとんど欠損するため,義歯床下は皮弁となり,義歯の維持は困難であるが,再建骨へのインプラント植立により義歯の維持は向上した。また,無歯顎であっても,再建骨の形態が良好でskin paddleが菲薄であればインプラントなしでも義歯の維持は良好となり,常食の摂取は可能であった。良好な顎口腔形態の再建が顎口腔機能の回復には重要であると考えられた。