頭頸部癌
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琉球諸島における頭頸部扁平上皮癌の多重癌について
鈴木 幹男乾 智一又吉 宣新濱 明彦喜友名 朝則山下 懐長谷川 昌宏
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2009 年 35 巻 4 号 p. 406-411

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抄録
頭頸部扁平上皮癌新鮮例218例(平均観察期間16.4ヶ月)を対象に多重癌について調査した。1.48例(22%)に多重癌を認めた。2.同時性多重癌では頭頸部領域の多重癌が4例,頭頸部と頭頸部以外の部位の多重癌の組み合わせが21例であった。他部位の発生部位は食道16例,肺3例,胃1例,直腸1例であった。3.異時性多重癌では頭頸部癌が先行したものが9例,他癌が先行したものは14例であった。初発が頭頸部癌の症例は第2癌発生までの間隔が有意に短かった。4.治療例(姑息・根治)の予後と多重癌発生の間に相関を認めなかった。5.多重癌発生に関与する因子では,中・下咽頭に発生した症例,SAKE指数が40以上の症例では有意に多く多重癌が発生し,この両者は独立して多重癌発生に関与していた。頭頸部癌は多重癌が多いため長期間のフォローアップが重要であるが,琉球諸島では特に中咽頭に多重癌が多く,アルコール摂取との関連が深いことがわかった。
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© 2009 日本頭頸部癌学会
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