頭頸部癌手術前のインフォームドコンセントに，今後加えるべき合併症死の危険性を明らかにするため自験例の解析を行った。
1997年から2008年までの12年間に施行した949件の頭頸部癌手術を対象にした。対象症例は男性693例，女性256例であり，年齢の平均±標準偏差は62.3±12.3歳であった。
合併症により死亡した症例は9例であり，全体の0.95%であった。手術規模から3群に分けると，大規模手術後は329例中6例（1.82%），中規模手術後は284例中3例（1.06%）であった。小規模手術後の合併症死はなかった。合併症死症例9例の詳細をみると，瘻孔が生じた症例や気道管理に問題のあった症例が多かった。また，その背景には併存疾患が関係していると考えられた。
