2011 年 37 巻 1 号 p. 126-131
頭頸部癌切除後にInfrahyoid myocutaneous flap(IHMCF)を用いて再建を行った7例について,皮弁の安全性および術後機能,術後合併症を中心に検討した。1例で皮島の部分壊死を認めたが,その他6例では放射線治療の既往例を含め皮弁は全生着した。皮島が部分壊死した1例で小瘻孔を,その他2例で軽度の膿瘍を合併したがいずれも保存的に治癒した。経口摂取開始は術後5~20日目(平均9日目)で,全例で完全に経口摂取が可能となった。
IHMCFは上甲状腺動静脈を栄養血管とし,前頸部に皮島を有する有茎皮弁である。短時間で挙上可能であり,頸部以外に傷が入らないため,再建を要する頭頸部癌患者にとって低侵襲な術式である。一方,原発巣や頸部リンパ節転移の状態によっては本皮弁を用いることが困難となりうる。適切な症例選択さえ行えば本皮弁は安全に用いることが可能であり,頭頸部再建における有用な選択肢の一つになると考える。