抄録
本邦では頭頸部癌に対するSN(センチネルリンパ節)生検については一部の施設を除いては未だそれほど普及しているとは言えない。そこで頭頸部癌におけるSN生検の有用性・問題点を明らかにするために,7施設177例を対象に実態調査が行われた。その結果,特に多切片法による術中の凍結切片での迅速診断は比較的信頼できる術中診断法であり,この結果をもとに一期的に頸部郭清が行うことができると考えられた。口腔癌のT3症例はT1と比較して偽陰性率が有意に高くなるため,SN生検の適応は慎重にすべきである。SNが多切片での検索でも全て転移陰性だった例は,陽性例と比べ予後良好と考えられた。