頭頸部癌
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頭頸部癌患者を支えるチーム医療
北海道大学病院の頭頸部がん患者に対する口腔ケアの取り組み
秦 浩信山崎 裕今待 賢治村井 知佳佐藤 淳水町 貴諭加納 里志本間 明宏福田 諭北川 善政
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2011 年 37 巻 4 号 p. 486-493

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抄録
我々は2007年から北海道大学病院において,頭頸部がん治療患者に対する口腔ケアを開始した。2010年度までの4年間に頭頸部がん患者254名の患者に対して行った,口腔ケアの臨床統計的調査結果と当院の口腔ケアシステムの概要を紹介する。
本調査において,口腔ケア介入を行った頭頸部がん患者の約8割が放射線治療の患者であり,放射線治療に伴う口腔有害事象に対する対応が重要であった。頭頸部の放射線治療時には,できるだけ早期に口腔ケア介入を開始することが望ましいが,本調査結果では照射開始4日以上前からの口腔ケア介入開始率は2009年度まで徐々に上昇し,約60%に達したにも関わらず,2010年度は過去最低の37.9%であった。今後,放射線治療予定患者は可能な限り入院前から,口腔ケアが開始できるようにシステムの見直しが必要である。また,退院後に当院耳鼻咽喉科で外来経過観察を行わなかった74例について引き続き地元歯科医院で歯科医療連携が行われたのは19例(27.0%)であった。退院後にも歯科介入が継続できる医療連携システムの構築が,今後の大きな課題といえる。
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© 2011 日本頭頸部癌学会
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