頭頸部癌
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頭蓋底
再発を繰り返した頭蓋底腫瘍に対して複数回の遊離皮弁再建を行った症例の検討
矢野 智之岡崎 睦田中 顕太郎岸本 誠司
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2012 年 38 巻 1 号 p. 6-12

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抄録
頭蓋底腫瘍の再再発例に対する複数回の遊離皮弁を用いた再再建術は稀であり,問題点と再建戦略を報告する。対象は複数回の頭蓋底再建を行った4症例である。年齢は14~60歳,全例女性,原疾患は血管周皮腫,髄膜腫,骨肉腫であった。全手術回数は各々14,5,3,7回,うち遊離皮弁を用いたのは5,2,2,3回であった。前外側大腿皮弁もしくは外側広筋弁を用い,浅側頭動静脈または顔面動静脈に血管吻合した。皮弁は全例で全生着した。再再建術の問題点としては,頭皮の菲薄化,複数回再建を考慮した皮弁の選択および吻合血管の確保があげられる。頭皮の菲薄化に対しては,血流に留意した頭皮の剥離と翻転および皮弁によるチタンプレートの被覆を行った。皮弁は前外側大腿皮弁もしくは外側広筋弁を第一選択とし,より広範囲な再発や術後顔面変形に対する2次修正術に備え腹直筋皮弁や肩甲動静脈系皮弁を温存した。吻合血管は浅側頭動静脈を第一選択とし,再発や2次修正手術に備え対側浅側頭動静脈や顔面動静脈を温存した。
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© 2012 日本頭頸部癌学会
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