頭頸部癌
Online ISSN : 1881-8382
Print ISSN : 1349-5747
ISSN-L : 1349-5747
その他臨床
がん切除後下顎骨再建における新しい理論「CATコンセプト」
―第1報 その概念と妥当性の検討―
橋川 和信杉山 大典横尾 聡田原 真也
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 38 巻 1 号 p. 84-89

詳細
抄録

がん切除後の下顎骨再建術における新しい理論「CATコンセプト」を考案したので報告する。この理論は,下顎骨に定めた基準点であるC(下顎頭),A(下顎角),T(オトガイ結節)を再現することが下顎骨再建術における必要かつ十分な条件であるというものである。
ヒト保存屍体10体の下顎骨を計測したところ,CATコンセプトに従って再建された下顎骨の輪郭は本来のものよりも約3~7mm小さくなることが示された。これは軟部組織量などで調節可能な値であり,臨床的にはCATコンセプトが十分条件であることを示唆している。また,自験症例45例を対象に検討したところ,手術後のCATコンセプト基準点の個数(切除されずに温存されていたものと手術で再建したものの和)と術後結果の間に有意な正の傾向性が認められた(p=0.003,Fisher’s exact test)。このことは,CATコンセプトが必要条件であることを示唆している。
以上の結果から,CATコンセプトは妥当な下顎骨再建理論である可能性が高いと結論づけられる。

著者関連情報
© 2012 日本頭頸部癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top