頭頸部癌
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シンポジウム3
子宮頸癌におけるHPV感染
―発癌メカニズムと予防戦略―
今野 良
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2012 年 38 巻 3 号 p. 290-296

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抄録

子宮頸癌のほぼ全ての発生にハイリスクHPV感染が必須であることが広く認められるようになった。子宮頸癌に対しては,50年以上前から行われてきた検診による二次予防に加えて,HPVワクチンの開発・臨床応用によって一次予防も可能になり,疾患の征圧を視野に入れた予防活動が世界的に繰り広げられている。一方,子宮頸癌以外の性器肛門癌の多くにもHPVが関連していることが認められ,予防・検診・治療に新しい展開がみられる。最近では,HPV関連頭頸部癌の増加と病態の特徴が報告され注目を浴びている。HPVワクチンは,子宮頸癌以外の性器肛門癌予防への応用が進行中であるが,中咽頭癌にも疾患抑制効果が期待できる。有効な検診の方法がない頭頸部癌では,その征圧に最も寄与するのはHPVワクチンかもしれない。

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© 2012 日本頭頸部癌学会
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