頭頸部癌
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上・中・下咽頭(頸部食道癌を含む)
中咽頭癌に対する経口的切除術 Transoral Videolaryngoscopic
山下 拓冨藤 雅之荒木 幸仁塩谷 彰浩
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2013 年 39 巻 1 号 p. 37-43

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抄録

我々はこれまで,声門上癌・中下咽頭癌に対する低侵襲治療として経口的一塊切除術,Transoral Videolaryngoscopic Surgery(TOVS)を提案し報告してきた。今回,中咽頭癌に対してTOVSを施行した25例26病変につき検討した。病変の主たる亜部位は側壁15例16病変,上壁5例,後壁3例,前壁2例であった。T分類はT1:8病変,T2:13病変,T3:5病変,T4:0病変で,N0:13例14病変,N+:12病変であった。経過中,頸部郭清は18例(72.0%)に,気管切開は1例(4.0%)に,放射線治療は10例(40.0%)に施行された。再建手術を行った症例はない。観察期間は中央値3年5ヶ月で,3年粗生存率,疾患特異的生存率,局所温存率はそれぞれ93.3%,100%,100%であった。嚥下機能正常とされるFunctional Outcome Swallowing Scale (FOSS) stage 0および1,日常会話に支障のないレベルと考えられる会話明瞭度評価Grade 1および2であった症例がともに96.0%(25例中24例)を占め機能面でも良好であった。T1,T2および一部のT3中咽頭癌に対するTOVSは,根治性を維持しつつ機能温存に寄与していると考えられた。

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© 2013 日本頭頸部癌学会
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