抄録
当科における頭頸部扁平上皮癌一次症例に対する基本的治療は,1989年6月より2005年までは導入化学療法の後放射線治療(ICT-RT群)を,2006年から2012年12月までは化学療法・放射線治療同時併用療法(CCRT群)を行っている。いずれも適宜手術を加えた集学的治療であり,化学療法はfluorouracilとcarboplatinを用いた同一のレジメンを適用した。
本報告の目的は,ICT-RT群と比較して現在行っているCCRT群で臓器温存率の向上の有無を明らかにすることであり,原発巣に化学療法と根治照射を行ったT2~T4a喉頭癌51例と下咽頭癌25例の全76例を対象とした。その結果,3年生存率では2群に有意差はなかったが,3年喉頭温存率はT2,T3症例ではICT-RT群に比べ有意にCCRT群で高く,T4a症例ではICT-RT群は3年75%,CCRT群は16ヶ月で100%であった。
以上から,T2~T4a喉頭癌・下咽頭癌の一次治療として根治照射の際に,併用化学療法としてCCRTはICT-RTと比べて生存率の向上は認めなかったが,特にT2,T3で喉頭温存率の高い向上がみられた。