頭頸部癌は,初診時より約半数が進行期であり,根治切除不能もしくは臓器機能温存希望を理由に化学放射線療法(CRT)が行われるが,その後の再発例に対する治療においても薬物療法を用いることが多い。
CRT後の再発例に対して薬物療法を用いる場面には,(1)救済手術後の補助療法としての再化学放射線療法(Re-CRT),(2)救済手術不能例に対するRe-CRT,(3)救済手術および再照射困難症例に対する薬物療法の3つが考えられる。
(1)は,治療成績の向上が期待されるものの,重篤な有害事象が懸念されるため,症例の選択に注意が必要である。(2)は,再照射そのものに否定的な意見も多く,個々の症例毎に判断せざるをえない。(3)は,幾つかの選択肢があるものの,過去の大規模な臨床試験をもとにしたEBMが構築されており,ガイドライン・ガイダンスに準じた治療が勧められる。
なお,今後の高騰する新規薬剤の登場に伴い,費用対効果評価を考慮した治療が求められつつある。