抄録
新しい医療機器等の薬事承認取得のためには治験等の「評価療養」を通じて安全性と有効性を示す必要があるが,薬事承認を取得すれば原則保険収載される。しかし現在ダ・ヴィンチ等を用いたロボット支援下手術は,保険収載に向け「重点的な観察・評価」が必要な療養と位置付けられ,全て先進医療Bで評価を受ける。先進医療Bは国が医療技術ごとに安全性,有効性に加え普及性,経済性等を審査・承認し,終了後に提出される総括報告書から評価を加えている。薬事承認を目指す治験と,保険収載を目指す先進医療では評価の観点が異なり,先進医療会議でもその原則が明示的に論じられている。これは特にダ・ヴィンチなど後者に該当する技術の保険収載への有用な戦略を考える上で重要なポイントだが,最近はより保険診療上の有益性を訴求する趣旨から,評価の考え方が少し変化してきている。今回はダ・ヴィンチ等を用いた技術が保険収載される為の課題と実際的な戦略を総論的に見ていきたい。