頭頸部腫瘍
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抗癌剤感受性試験ATP法の検討
田中 信之斎藤 等
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1996 年 22 巻 3 号 p. 476-481

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抄録

細胞内ATP量を指標とした抗癌剤感受性試験 (ATP法) を行い, 臨床相関を中心に同法の現況とその有用性について検討した。評価可能率は94%であり, 薬剤別感受性陽性率は, 5-FU, CDDPで高く, 扁平上皮癌にしぼった検討でも同様の傾向があった。また, 部位別の検討では, 口腔, 中咽頭において感受性陽性薬剤が多かった。15例の臨床効果との相関では, 真陽性率75%, 真陰性率100%, 正診率87%であり, 我々が過去に報告した迅速サイミジン法と比較しても良好な結果であった。また, 術後補助化学療法として, 感受性陽性薬剤を用いた検討を13例に行い現在まで死亡例は1例のみであったが, 平均観察期間17ヵ月と短く, 今後も引き続き検討が必要であると思われた。以上の結果より, ATP法は assay の技術的な面での簡便さや評価可能率の高さ, 臨床相関においても良好な結果であり, 抗癌剤感受性試験として有用であると考えられた。

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© 日本頭頸部癌学会
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