抄録
当科の頭頸部扁平上皮癌に対する化学療法の中心であるCDDP+5-FU療法 (CF) およびCDDP+PEP療法 (CP) について, 奏効率および副作用に関する retrospective な統計学的比較検討を行った。評価可能症例はCF 54例・CP 85例で, 全体の奏効率はCF 72.2%, CP 68.2%, CR率はCF 22.2%, CP 25.9%で, いずれも両者の間に統計学的有意差は認められなかった。原発部位別奏効率でも統計学的有意差は認められなかったものの, 中咽頭ではCPの方が高く, 口腔・下咽頭・聴器ではCFの方が高い傾向が認められた。Grade 1以上の副作用出現率は, 悪心嘔吐・WBC減少・血小板減少においてCFはCPに比較し有意に高かったが, 臨床的安全性に問題は認められなかった。今後さらに両化学療法の奏効率を向上させるためには, 腫瘍の薬剤感受性を個々の患者レベルにおいて, 適切に評価した上で投与薬剤を選択することが望まれる。