抄録
より多くの口腔癌術後患者の咀嚼機能を, より高度に回復させるための指針を得るため, 多数例の口腔癌術後患者の現在の咀嚼機能を多角的に評価するとともに, 患者の機能回復に対する関心度について検討を行った。
対象は当科外来を受診している口腔癌術後患者53名 (男性23名,女性30名, 41歳~85歳, 平均61.1歳) である。咀嚼機能の主観的評価には山本の咬度表を用い, 客観的評価には低粘着性発色ガムおよびオクルーザルプレスケールを用いた。機能回復の関心度については現在の機能の満足度, 今後の治療の要求度についてアンケートを行った。
その結果, 機能評価値は低いが, これ以上の治療を望まない患者がみられ, 口腔癌術後患者全体の咀嚼機能を高めるためには, 機能回復のための治療に対する患者の意識を高めることの重要性が示唆された。