抄録
関東地区8施設9診療科で経験した顎骨骨肉腫の臨床および病理学的検討を行った。
対象は各施設で診断が確定した顎骨骨肉腫23例, 内訳は男性10名, 女性13名で, 年齢は11~68歳, 平均は40.0歳であった。発症部位は上顎6例 (前歯部1例, 臼歯部4例, 前歯部から臼歯部に及ぶもの1例), 下顎17例 (臼歯部14例, 前歯部から臼歯部に及ぶもの1例, 下顎枝1例, 顎関節部1例) であった。臨床症状 (複数回答) は腫脹20例 (87.0%) が最も多く, 次いで知覚鈍麻などの神経障害16例 (69.6%) で以下, 疼痛13例 (56.5%), 開口障害3例 (13.0%), 歯の動揺1例 (4.3%), 出血1例 (4.3%) であった。初回治療は外科単独11例, 外科+化学療法5例, 外科+放射線療法3例, 外科+化学+放射線療法4例であった。Kaplan-Meier 法よる5年および10年生存率はそれぞれ45.2%, 33.9%であった。