抄録
下顎管分類における辺縁切除の適応を明らかにする目的で, T1~T3例を対象に臨床的・病理組織学的検討を行った。T分類では, T2が39例と多く, T1, T3はそれぞれ4例であった。47例の治療法は, 23例は手術単独, 12例は手術と放射線併用, 9例は手術と化学療法併用, その他3例であった。下顎の切除法は, 33例に辺縁切除を, 14例に区域切除を行った。術前X線所見と摘出物の病理組織学的所見との比較の結果, X線所見で明らかな骨吸収を認めないもの, 平滑状の骨吸収を示し, 骨吸収深度が下顎管を越えないもの, また症例によっては, 虫喰い状で, 骨吸収が歯槽部にとどまるものが辺縁切除の適応と考えられた。また, 辺縁切除症例と区域切除症例の2年原発制御率は, 各々83.0%, 75.0%であり, 明らかな差は認めなかったことから, 上記の適応症例に関しては, 積極的に辺縁切除を試みるべきと考えられた。