頭頸部腫瘍
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下顎歯肉癌における下顎骨切除方法―下顎辺縁切除の適応と限界―
辺縁切除を行った場合の再建, 問題点
工藤 啓吾八木 正篤降旗 球司村上 裕子石川 義人福田 喜安横田 光正大屋 高徳
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1997 年 23 巻 3 号 p. 625-630

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抄録
下顎歯肉扁平上皮癌のX線骨吸収様式と骨吸収深度からみた下顎辺縁切除とその再建について検討した。対象は区域切除17例, 辺縁切除19例, その他7例であった。これらのX線骨吸収様式と骨吸収深度, 臨床的, 組織学的治療効果, 再建方法, 顎義歯の装着状態, 分化度と浸潤様式別転帰, 累積生存率などを比較した。その結果, (1) 下顎辺縁切除はX線骨吸収様式が平滑型で, 骨吸収深度が歯槽部および下顎管の上方部に限局し, 術前治療が奏功すると腫瘍再発がなく, 植皮やD-P皮弁による再建後も経過が良好であった。(2) X線骨吸収様式が虫喰型で, 骨吸収深度が下顎管の上方部へ及ぶと腫瘍再発も認められた。このような症例には下顎管を含めた rim mandibulectomy が適応するが, 骨折を併発しやすいので残存骨の骨折予防のため金属プレートによる固定が重要であった。(3) X線骨吸収深度が下顎管を含むときは, 骨吸収様式に関係なく, 下顎区域切除がなされるべきである。
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© 日本頭頸部癌学会
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