抄録
放射線治療後の再発喉頭癌に対し, 喉頭部分切除を施行した症例を中心に, 術後合併症, 喉頭保存率, 音声機能について調査した。対象は1989年から1999年までに, 本院にて早期声門癌の診断で放射線治療を受けた91症例。そのうち照射後再発は32症例にみられ, 32例中19症例に喉頭部分切除術を施行した。喉頭部分切除を施行した症例の年齢の分布は49歳から72歳, 全員男性であった。初診時病期はT1が9, T2が10例。結果は, 放射線照射後再発32症例の最終的な喉頭温存率が50.4%であった。喉頭部分切除を施行したすべての症例で音声を保存, 気管孔も閉鎖できたが, margin が1mm以下の3症例で局所再発し, 喉頭全摘を施行した。5年生存率は100%。術後の Maximum Phonation Time は3~28秒であった。これらの結果は, 放射線照射後再発喉頭癌における喉頭部分切除術は効果的であり, かつ機能面でも良い結果が得られるが, margin が1mm以下の症例では厳重な経過観察が必要であることを示唆している。