頭頸部腫瘍
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舌癌における癌の表面の大きさと筋層浸潤
舌部分切除単独治療のpT1, 2舌癌145例の検討
木村 幸紀柳澤 昭夫鎌田 信悦岡野 友宏
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2000 年 26 巻 1 号 p. 85-89

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抄録

舌癌の頸部リンパ節転移の予知因子は, 舌筋層内への浸潤が最も重要であると既に報告した。今回, 癌の表面の大きさから筋層浸潤の有無を検討し, 癌の表面の大きさで筋層浸潤の有無が予知できるか検討した。対象は, 1982年から1997年までに舌部分切除単独治療したpT1, 2舌癌145例である。これらの手術標本を2~3mm間隔の連続切片のH & E標本を用いて癌の上皮層での大きさと筋層浸潤の有無との関連を分析した。筋層浸潤率は, 5mm以下の癌: 0% (0/5), 6mm以上10mm以内: 43% (16/37), 11mm以上15mm以内: 57% (14/26), 16mm以上20mm以内: 67% (24/36), 21mm以上: 83% (34/41)。結論: 表面の大きさ5mmまでの癌は筋層浸潤がなく転移の可能性はなく, 21mm以上の癌は80%以上筋層浸潤があり転移の可能性が大であった。また, これらの間の大きさの癌は, 表面の大きさのみでは筋層浸潤の予知は不可能であった。

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© 日本頭頸部癌学会
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