2000 年 26 巻 3 号 p. 509-513
内頸動脈に浸潤する進行頭頸部癌に対しては, 根治を目指すならば内頸動脈を含む en bloc 切除が重要である。頭蓋外でのバイパス手術は血行の良好な筋皮弁で被覆することで, 合併症を防ぎ安全に行い得る。しかし, 内頸動脈末梢側に縫い代が取れない場合には, 頭蓋外-頭蓋内バイパス手術が必要となる。Matas-PET などにより良好な側副血行が確認出来ても, 広範な頭蓋底切除のように, 侵襲が大きく, 術後の血行動態が大きく変化する可能性がある場合には, 術前の一時的な内頸動脈の遮断は, 術後の血行評価には不十分である。頭蓋外-頭蓋内バイパス術自体の安全性を高めるために, 2段階バイパス手術の有効性について述べた。