2001 年 27 巻 1 号 p. 121-126
最近24年間に当科にて治療を行った頭頸部腺様嚢胞癌40例を対象として, 累積生存率, 病期別, 原発部位別, 組織型別, 放射線治療の有無, 遠隔転移の有無についてそれぞれ検討を加えた。
結果は5年及び10年生存率はそれぞれ74.8%と47.4%であった。病期別では stage III-IVは stage I-IIに比して有意に予後不良であった。原発部位別では上顎・鼻副鼻腔が他部位にして予後不良であった。放射線治療併用の有無, 遠隔転移の有無で予後については統計学的に有意差は認められなかった。遠隔転移例で手術可能例はその他の群に比して有意に予後が改善された。
結論は1) 上顎や鼻副鼻腔は手術時に十分な切除がされていない場合が多く, より拡大切除が望まれた。2) 放射線による予後改善までは認められなかった。3) 遠隔転移例でも可能であれば手術を考慮すべきである。