頭頸部腫瘍
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咽頭後郭清術の検討
長谷川 泰久松浦 秀博藤本 保志加藤 久和菅沼 良規内木 幹人早川 和喜
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2001 年 27 巻 1 号 p. 73-78

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抄録

中・下咽頭癌における咽頭後リンパ節転移は約20%の例にみられ, 咽頭後壁や多発頸部転移例に高率である。今回, 郭清手技について, われわれの行っている方法を検討した。下咽頭癌では下方からのアプローチで行っている。郭清手技の考えは次のようである。咽頭後隙は底面が開放された扁平な四角錐に例えることができる。前後壁は咽頭筋外膜 (buccopharyngeal fascia) と椎前筋膜 (prevertebral fascia) よりなり, 側壁は頸動脈鞘 (carotid sheath) から構成され, この中に咽頭後リンパ節とリンパ管が含まれる。このような四角錐を想定して郭清を行うことにより筋膜でリンパ組織を包んだ en bloc な郭清を行うことができる。下咽頭喉頭頸部食道を切除後, 中咽頭後壁を椎前部より挙上する。前壁と後壁を上方に向かって上咽頭天蓋部近くまで剥離する。続いて側壁の剥離に移り, 交感神経節と内頸動脈を目安とし露出するように, これらを包む結合組織 (頸動脈鞘) を頭蓋底に向かい内側へ剥離する。通常は1個の5~15mmの外咽頭後リンパ節を確認し, リンパ管や結合織と共に両側を郭清する。下咽頭癌での下方からのアプローチは手技と両側郭清の容易さ, さらに根治性に優れていると考える。

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© 日本頭頸部癌学会
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