頭頸部腫瘍
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耳下腺の未分化癌および扁平上皮癌の長期成績
仲野 公一武藤 博之永田 博史寺田 修久沼田 勉今野 昭義
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2001 年 27 巻 1 号 p. 97-101

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抄録

1978年以降, 日本TNM分類委員会頭頸部小委員会唾液腺部門に登録された耳下腺悪性腫瘍症例は1683例あり, そのうち未分化癌は4.8%, 扁平上皮癌は12.2%で, 耳下腺癌の中でも頻度の低いタイプであった。組織型別長期予後は, 5年及び10年粗生存率がそれぞれ未分化癌で31.6%, 24.3%, 扁平上皮癌で29.4%, 13.0%であり特に不良であった。1961年から1995年までの35年間に, 千葉大学医学部附属病院耳鼻咽喉科で治療を行い, 5年以上経過した耳下腺癌症例のうち, 未分化癌は5例, 扁平上皮癌は3例であった。当科の治療方針にて治療し得た症例では, 局所および頸部のコントロールは良好であった。しかし未分化癌のうち, 2例が遠隔転移にて死亡した。耳下腺の未分化癌および扁平上皮癌に対して, 長期の治療成績を上げるために, 術前ないし術後の化学療法や術前照射療法などの追加治療の検討が必要と思われた。

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© 日本頭頸部癌学会
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