下咽頭癌で原発巣の切除と頸部郭清術を実施し, 遊離組織で再建を行った症例において, 未郭清の外側咽頭後リンパ節に, 初回再発としての転移を生じた6例の治療成績を検討した。6例中5例は切除・再建術後1年以内にCTで再発を発見し, 3例は放射線治療単独, 3例は下顎スイング法で切除し術後照射を行った。観察期間の短い症例が含まれるが, 83%で局所コントロールがなされ, 非再発生存症例は50%であった。初回治療時に予防郭清を実施せず, 後発咽頭後リンパ節転移が生じても, 放射線治療あるいは手術と術後照射の併用で長期に生存する症例があることがわかった。また咽頭後リンパ節再発による死亡は必ずしも多くないことがわかった。したがって, 初回手術時に咽頭後リンパ節転移のない下咽頭癌の再建症例では, 予防的咽頭後郭清をせず, 注意深く経過観察をすることも, 治療方針のひとつと思われた。