頭頸部腫瘍
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Stage III/IV頭頸部癌に対する docetaxel 併用加速多分割放射線治療
西野 宏篠崎 剛藤澤 嘉郎石川 和宏田中 秀隆阿部 弘一市村 恵一柴山 千秋仲澤 聖則
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2003 年 29 巻 4 号 p. 603-607

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抄録

近年放射線治療単独と比較し化学放射線治療の有効性を示す報告がある。docetaxel (DOC) はチューブリンの合成を阻害し, 放射線に感受性を有するG2/M期に細胞周期を停止させる作用がある。よって放射線照射と併用することより有効な放射線増感効果が期待される。Stage III/IV頭頸部癌19症例を対象にDOC併用加速多分割放射線治療をおこなった。17例が治療を完遂できた。症例に対する治療効果は complete response (CR) 10例, partial response (PR) 7例であり, 奏功率100%, CR率58%であった。T分類別の効果ではCRをT1T2では11例中10例に認めたのに対し, T3T4では6例中0例であった。有害事象では全例に Grade 3以上の粘膜炎を認めた。疼痛管理に9例に麻薬の投与が必要であった。補助療法として末梢補液が8例, 経管栄養が2例, 中心静脈栄養が1例に必要であった。PR例では後治療として化学療法をおこないCRを得られた症例を認めた。

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© 日本頭頸部癌学会
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