2021 年 48 巻 1 号 p. 188-192
14歳女性.起床後より突然左に傾くようになり,強い頸部痛のため入院した.外傷の既往はなかったが,MRIで左側のalar ligament injury (ALI) 所見と軸椎の右への偏位を認め,その他の靱帯損傷は認めなかった.ALIと診断しソフトカラーを装着し,約2ヵ月の経過で症状は改善した.Alar ligamentは軸椎と後頭骨関節顆内側面を連結し,頭部と環椎が軸椎の周りで過剰に回旋するのを防止している.Isolated unilateral ALIは過去12例の報告のみで,若年者に多い傾向にあった.突然の後頸部痛では頭蓋頸椎移行部の靱帯病変も見落とさないように留意すべきである.