抄録
介護保険の目的は高齢者の在宅生活を支えることである。現在介護を必要としない高齢者は自立している機能を維持することで, より長期の在宅生活を可能にするが, こうした高齢者には介護認定の結果によってデイサービスが利用できなくなるという矛盾が生ずる。今回, 秋田県象潟町における高齢者生きがい事業の一環である「ミニデイサービス」をとおして参加者の不安について調査した。対象者はミニデイサービスに参加している男性4名, 女性8名の計12名で、平均年齢は76.6歳であった。対象者に, 「健康」, 「金銭」などといった8項目について, 不安を4段階で示してもらい, 聞き取り調査を行った。同時に面接を行い, その回答の背景などについて情報を得た。その結果不安の高い項目は「健康」であり, 低いものは「住居」と「友人」であった。面接でも, 「友人」に関しての発言が多く, 友人を得る場としてのデイサービスという役割も考えられた。