東京保健科学学会誌
Online ISSN : 2433-149X
Print ISSN : 1344-3844
ISSN-L : 1344-3844
下腿と足部冷却が立位姿勢制御に及ぼす影響
細田 昌孝吉村 理柳澤 健飯田 恭子野本 彰磯崎 弘司池田 由美神尾 博代中俣 修林 謙司原 和彦細田 多穂
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 4 巻 3 号 p. 142-147

詳細
抄録

立位姿勢制御には体性感覚・視覚・平衡感覚の感覚入力が影響する。これらの感覚入力を変化させたときの立位姿勢制御に及ぼす反応を下腿・足部冷却前後で比較することを目的とした。SOTの重心前後動揺では, Test1, 2, 4, 6の項目で冷却後は冷却前に比べて有意に減少した。ストラテジ分析においても同様の項目で冷却後は冷却前に比べて有意に減少した。これらの結果は, 下腿全体の冷却により下腿・足部の表在受容器や固有受容器が冷やされて筋出力の低下が生じたと考えられる。MCTの反応時間においてはGrade5, 6で冷却前に比べて冷却後, 有意に遅延した。これは冷却による筋緊張の低下や神経伝達速度の遅延が関与している。反応力ではGrade2, 3, 5, 6の項目で冷却前に比べて冷却後, 有意に増加した。これは固有感覚入力が減退して視覚・前庭系の情報から頚部・体幹による代償的な姿勢制御機構が加わったためと考えられる。以上から, 5℃で下腿・足部を冷却すると表在感覚や固有感覚入力が低下すると示唆される。

著者関連情報
2001 日本保健科学学会
前の記事 次の記事
feedback
Top