魚類学雑誌
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ハゼ科魚類の舌咽骨に見られる系統について
高木 和徳
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1950 年 1 巻 1 号 p. 37-52

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抄録

1.邦産ハゼ科魚類34属・37種・10型について、その舌咽骨及び舌の形態・及び舌咽骨の成長による形態變化を觀察し、その系統關係を考察檢討した。
2.舌咽骨は、舌の場合と同様種類によつてその前縁の彎入している竜のがあり・その彎入め有無よつてこの骨の形態はG1型及びG2型に2大別される。しかし舌の前縁の彎入の有無は舌咽骨前縁に於けるそれとは姫しも一致せす、その一致度は76.5%である。
3.舌咽骨で形態上重視される點は舌咽骨角・叉角・彎入度及び擬彎入度等であつて (圖1参照) 、舌咽骨角の増大・看咽骨の分叉現象及びそれに伴う彎入度及び叉角の増大などは特化現象と考えられる。その特化過程はゴクラクハゼ・アカウオ(供にG1型) 及びアゴハゼ (G2型) などにみられる。
4.G1・G2兩型の中では、その形状の軍純さ・出現頻度 (47種中63.8%) 及びG2型の發生過程よりみて、G1型が基本型であると思われる。
5.G1型では漸進的な1系列の發達過程がみられ、ハナハゼ型が始原型・シヨウキハゼ型が最特化型で、チヤガウ型・マハゼ型及びサビハゼ型などはその中間型である。
6.G2型は恐らくG1型からの派生型である。本型ではG2型よりも複雑な分化派生がみられ, 、E・F・Lの3亜型が認められる。その中E型はF・L2型の共通原型で、G1型の或型、恐らくチヤガラ型から分派したと考えられる。F・L2型のうちでは前者が壓倒的に多く、兩者の最特化型はそれぞれタビラクチ型及びアゴハゼ型である。
7.本研究の結果舌咽骨型に立脚して推定されるハゼ科魚類の系統關係はKoumans ('41) の分類法によるものに最も近い。併し筆者はJordan及びSnyder ('01) 及びTomiyam ('36) の如く、ハゼ族を1科に包括し、Koumansの1科・及び他2科を構成する6亜科をすべて亜科とし、更に本邦産のミミズハゼ亜科を加えた亜科を認めた。

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