魚類学雑誌
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ハゼ科魚類の肩肝骨について
明仁親王
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1963 年 11 巻 1-2 号 p. 1-26

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抄録

1. 肩胛骨の有無, 形態をハゼ科魚類67種についてアリザリン染色によって調べた。これらは次のように分類された。
有肩胛骨型47種
肩胛骨はよく発達し背方から肩胛骨孔をかこんで二叉するが, 完全に孔をとりかこむものはない。射出骨のうすく染まる体長の小さい時期から肩胛骨は染色点或は棒として現われる。
特殊型2種
有肩胛骨型より肩胛骨の発達の不十分な型で無肩胛骨型との中間に位する。射出骨の十分に染まった体長の大きな個体でも染色されないものがあり, 又肩胛骨のある場合でも二叉はしないように思われる。
無肩胛骨型18種
肩胛骨を欠く型である。シロウオを除き射出骨, 烏喙骨の骨化は他の型と変りがない。
2. 肩胛骨の形は個体変異が著しく, 種の特徴として重要視することはむずかしいが, 肩胛骨の有無は十分に成熟した個体では特殊型を除き種によって決まっており, 種を区別するには安定した一形質とみなされる。
3. 肩胛骨の有無は属を区別する一つの特徴として取り上げ得ると考えられる。

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