魚類学雑誌
Online ISSN : 1884-7374
Print ISSN : 0021-5090
ISSN-L : 0021-5090
ナマズ稚魚の下あごひげの再生, ならびに琵琶湖産ナマズ類の下あごひげの比較
佐藤 光雄片桐 康雄
著者情報
ジャーナル フリー

1966 年 13 巻 4-6 号 p. 169-175

詳細
抄録
1. 全長20mm及び35mmのナマズの稚魚の下あごひげの再生経過と3種の琶琵湖産ナマズ類の下あごひげの組織構造を調べた。
2. 20mm稚魚においては永存ひげも一時ひげもその再生経過には差異がなく, ひげ切断後約6時間で傷口は表皮によって完全におおわれ, 12時間後には軟骨支柱の再生芽が形成され, 切断後5日目で対照のひげと同じ長さ及び組織構造をもつにいたる。
3. 35mm稚魚の永存ひげの再生は, 再生に幾分多くの日時を要する点を除くと, 20mm稚魚のそれとほとんど変りがない。
4. 35mm稚魚の一時ひげは退化の兆しをみせていたが, このひげを切断した場合, 傷口が切断後1日目にしてようやく1層の表皮でおおわれるだけで, 軟骨膜細胞の切断端への移動はみとめられない。
5. ビワコオオナマズの下あごひげはナマズ及びイワトコナマズのそれに比して短少で発達が悪いが, その組織構造においてはこれら3種間にほとんど差異がない。
著者関連情報
© 日本魚類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top