抄録
1963年 (昭和39年) 前半の異常冷水期に北方系の魚類が相模湾とその近くに出現した事に就いてはさきに報告したが, その後1954年12月に駿河湾でホッケが1尾漁獲されたのを見, また1963年3月か4月に伊東市川奈の定置網で獲れたホッケの標品を見る事が出来た。
1966年 (昭和41年) 前半も冷水が伊豆七島からその近くに亙つて停滞し, その為か南日本 (犬吠岬以南) で始めてギンダラが5月6日と6月22日に1尾ずつ, 初島沖の深度650mで延縄にかかつた。5月11日には岩の沖合で, 6月19日には大磯の沖合でそれぞれ1尾 (ともに深度760mで) 延縄でカラスガレイが獲れ, また6月中に伊東市富戸の定置網にこのカレイが1尾入つた。これらは1966年前半の伊豆付近冷水塊の停滞に伴う多くの異常現象の, ほんの一部であろうと思われるふしがある。