魚類学雑誌
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産卵期前後における養成ブリの成熟について
楳田 晋落合 明
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1971 年 18 巻 4 号 p. 175-181

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抄録

日本南部の養魚場で満1-6年間にわたりいけす網で養成されたブリの成熟状態を調べた結果, 次の事項が明らかとなった.
1.雄は4月から5月の始めにかけてホルモンを投与せずに完熟した.
2.雌の1年魚は産卵期間中でも未熟状態であったが, 3, 4および6年魚は4月から5月始めにかけてかなり成熟し, 卵黄球期に相当する卵をもった.しかし, これ以上は熟度がすすまず完熟状態には達しなかった.
3.成熟状態が最高に達する期間の水温範囲は16-19℃あたりであり, これより水温が上昇すると生殖腺は急激に吸収されて退縮する.
4.同じ成熟度をしめす体長群でも, 養成ブリの生殖腺は天然ブリのそれより軽く, 生殖腺指数も小さい傾向がある.
5.養成ブリを採苗用の親魚とするためにはとくに冬期の水温管理を適切にする必要があり, これによって産卵期を調節できると思われる.

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