魚類学雑誌
Online ISSN : 1884-7374
Print ISSN : 0021-5090
ISSN-L : 0021-5090
下関市で初記録のイトヨ
尼岡 邦夫春田 親邦
著者情報
ジャーナル フリー

1972 年 19 巻 2 号 p. 129-131

詳細
抄録

尼岡邦夫・春田親邦下関市吉見永田川の河口から約1km上流で9尾のイトヨが初めて捕獲された, 本種は日本では一般に北緯35度以北の日本海側および太平洋側に分布し, 局地的に山口県光市沖, 大分県大分川および長崎県浦上川から知られている.本種の永田川での捕獲は分布上興味深い.今までの調査で知られていなかったことにより, 最近になって湖河し始めたものと思われる.これらは口本海側から移住して来たものか, 太平洋側からのものか, あるいは隔離された生息地からのものか明らかにすることができなかった。
採集された雄3個体と雌6個体の標準体長は62.7~75.2mmである.これらは楯状鱗数 (32) 33~34で, その配列状態がTrachurus-typeであることから, 降海型である.そして尾竜骨上の楯状鱗の型から, 黒潮・対馬海流があらっている地域にみられるNiigata-typeである.
本種の雌雄各1尾を水槽で約1カ月飼育し, 繁殖行動を観察した.これらの行動は以前から知られているものと同じであった.

著者関連情報
© 日本魚類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top