1972 年 19 巻 2 号 p. 89-96
日本の沿岸で採集されたコチ科魚類11種の筋肉たん白, LDHおよびMDHを電気泳動法により分析してその泳動パターンを比較した.筋肉たん白の泳動パターンは属や種で異なり, 近似種間でも明らかな差が認められた.最近瀬戸内海などから報告されたマゴチに近縁なヨシノゴチ (Plbtycephalus sp.) はマゴチとは異なる泳動像を示し, 両者が異種であることを立証した.筋肉たん白はでん粉ゲル法で7型, セルロース・アセテート法で5型, LDHで4型に, MDHで5型に類型化された.電気泳動の結果から得られた類縁関係は形態にもとつくそれと基本的には一致した。両者間の一つの大きな差異は形態的特徴からオニゴチ属に近縁と考えられていたマツバゴチ属が, 形態的差異の著しいメゴチと電気泳動パターンで全く同じ型に属していることであった。