魚類学雑誌
Online ISSN : 1884-7374
Print ISSN : 0021-5090
ISSN-L : 0021-5090
ドンコの産卵行動
益子 計夫
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 23 巻 2 号 p. 69-78

詳細
抄録

ドンコの産卵行動の水槽内観察により, 5っの基本的動作を区別し, それらの出現頻度を産卵行動の進行過程に沿って記録した.その結果, 営巣中の雄は雌の接近により頻繁なfanning, upside-down movement, beatingを行い雌を巣中に誘いこむ.番いを形成すると雌雄は頻繁なupside-downmovement, weaving, quiveringを行い, 産卵する.産卵後の卵を保護中の雄には主にfanningとweavingが認められ, 両動作とも産卵後頻度は減少するが, 仔魚のふ化時に再度増加した.雄親魚によって保護されていた卵塊では, そうでない場合と比較して, 水生菌に侵された死卵がなく, また多数の死卵が落下することから, 雄親魚の巣中でのfanningとweavingは死卵を卵塊からかき落すことにより卵全体が水生菌によって侵されるのを防ぐ役割を持っているのではないかと示唆された.

著者関連情報
© 日本魚類学会
次の記事
feedback
Top