抄録
上記2種の硬骨魚の頭部にみられる皮質突起の組織学的構造を, 魚類のひげのそれと比較してみた.両者間の著しく異なる点は, 皮質突起の真皮部中心に支持軸および血管叢が欠けていることである。その他の構造は大体類似している。従って上記の皮質突起は, ひげとほぼ同じような機能をもつものと推測される。なおケムシカジカの皮質突起の表面にはかなり厚い被覆層があり, このために皮質突起の表皮に存在する終末球の丈が高くなり, その頂が被覆層の遊離面とほぼ同じ高さに達していることが注目される。この被覆層はWhitear(1970)の報告にあるcuticleと同じものと考えられるが, 今後なお検討を要する。