魚類学雑誌
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本邦から得られたトクビレ科の2希種, ニセナメトクビレとサイトクビレ
金山 勉丸山 秀佳
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1979 年 25 巻 4 号 p. 278-282

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抄録

北海道のオホーツク沿岸から本邦では2番目の記録であるニセナメトクビレと本邦初記録のサイトクビレが得られた.これらの標本とブリティシュコロンビア大学および東京大学所蔵の標本とを合せて, 比較研究を行った.
ニセナメトクビレとナメトクビレはしばしば混同されてきたが, 前者は腹鰭直前に対をなした2~3対の骨板, 43~46脊椎骨, 42~44背側列骨板および40~42腹側列骨板をもつことにより後者から明瞭に区別される.これら2種の分布が重なることはなく, 前者は日本海, オホーツク海および国後島の太平洋岸に, 後者はべ一リング海東部および北太平洋北東部に各々分布する.本邦では本間1 (1959) が新潟沖からナメトクビレを報告しているが, 彼の記載および前述2種の分布様式から判断し, ニセナメトクビレであると考えられる.
サイトクビレはデブサイトクビレに酷似するが, 本種は頸部のへこみに皮骨性の突起を欠くことにより区別される.

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