抄録
カジカ科魚類のアサヒアナハゼとFurcina sp.の皮膚表皮には, 大小2種の粘液細胞がみられる.これら2種の粘液細胞は単に大きさが著しく異なるのみでなく, 微細構造にもそれぞれの特徴が認められる。しかし, 大小の粘液細胞の微細構造は, 上記2魚種間で大きな差異がない.小粘液細胞は, 多くの典型的な粘液細胞と同様に, よく発達した粗面小胞体と, かなりの数のゴルジ体をもっており, 粘液形成はこれら2種の細胞小器官の共同作用によるものと考えられる。大粘液細胞では, 粗面小胞体の発達が悪く, かなりの数のゴルジ体と豊富なミトコンドリアが認められる.従ってこの場合の粘液の形成過程は, 小粘液細胞のそれと幾分異なることが予想される.また大粘液細胞と隣接の表皮細胞との間に, 相当数の接着斑が存在することも注目される。上記の2魚種の皮膚表皮には, 大小の粘液細胞のほかに, 嚢状顆粒細胞も多く認められる.これらの単細胞腺からの分泌物が, 表皮面で複雑に作用し合うものと思われるが, この問題については, 今後の研究をまって, あらためて報告したい.