1979 年 26 巻 2 号 p. 209-214
クマノミ類 (スズメダイ科) がイソギンチャクと共生し, イソギンチャクの触手または口盤におおわれたサンゴ礁面あるいは岩礁面に産卵する習性をもつことは近年周知の事実になっている、著者らが琉球列島とパプアニューギニアで観察したトウアカクマノミAmphiprion polymnusは, イボハタゴイソギンチャクStoichactis haddoniと共生。営巣する.イボハタゴイソギンチャクは砂底に生息するので, 岩礁, サンゴ礁のような産卵床がない。トウアカクマノミはこの口盤の下に付近から不正形類棘皮動物の殻, 二枚貝の殻, 清涼飲料水の空缶, ヤシの葉等を運び, そこに産卵する。本種の営巣習性はこの点で他のクマノミ類と異なっている。