深海性スズキ目魚類ムカシクロタチScombrolabrax heterolepisの腹椎骨が特異な形に成長をとげることが判明した.この変化はすでに標準体長135mmの個体においてみられ, 249mmの個体では完成していると思われる.第1~12脊椎骨の椎体が左右に大きく膨脹し中空の構造となる.この一つ一つの脊椎骨の膨らみの中に標の背面がくびれて入りこんでいる.この部分において腎臓は標の両側に分かれて存在する.
ムカシクロタチの系統上の位置について考察を行った結果サバ亜目とスズキ亜目の形質を種々保持している上, 独特な形質も顕著なので, Roule (1922) によって創設されたムカシクロタチ亜目を認めることとした.本亜目は現在のところ一科一属一種を含む.