魚類学雑誌
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土佐産タルミ属 (Lutianus) の魚類に就いて
蒲原 稔治
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1954 年 3 巻 3-5 号 p. 107-117

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抄録

最近約20年間にタルミ属 (Lutianus) に属する魚類を土佐の各地から14種採集した。それ等の中には土佐からは筆者が今回ここに初めて報告する2種の外に、最近種々の雑誌に載せたものもあり、土佐が分布の北限になると思われるものも6種に達する。日本産の記録のあるもので未だ土佐から採集し得ないものはL.lutianus BLOCHがあるのみである。
筆者は先年L.erythropterus BLOCH (ヨコタルミ) をL.malabalabaricus (BLOCH & SCHNEIDER) (クラカケタルミ) と誤認して発表した (高知大学研究報告、1951) 。その後若魚ではあるが後者の標本を入手することが出来て、その訂正を行つた (高知大学、学術研究報告、, 1953) 。こうした理由もあるので、ここに土佐産のタルミ属のものの再検討を試みることとした。
一般に本属の魚類は土佐では稀にしか漁獲されない物である。ただL.fulviflamma (FORSKAL) (モンツキ) だけは沿岸や内湾にもかなり多く見られる。
標本は戦災前のものは全部焼失したので、今回記載に用いたものはその後に採集したもののみである。本文の各種名の下には主に筆者の手元にある文献中の図のあるものを掲げた。数字の後の (大) は筆者の調べた標本の中の大形のものの意味である。分布は大体の範囲を示したものである。

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