魚類学雑誌
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アユの酸素消費量に及ぼす群効果
梅澤 俊一足立 茂種田 耕二
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1983 年 30 巻 3 号 p. 261-267

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抄録

アユの酸素消費量に及ぼす群効果をアユの成長段階との関係から調べた.アユは稚魚から成長するにつれて遡河, すみわけ, 降河と行動習性がかわり, すみわけの時期では攻撃行動を示す.酸素消費量はポーラログフ酸素電極を用い, 流水式の呼吸室により, アユの呼吸前後の水の溶存酸素量の差から求めた, 呼吸室に入れた単独のアユが両側に1個体ずつ配した同種の魚に視覚的に接した場合, 単独アユが群れ飼育及び3個体飼育で攻撃行動を示した個体あるいは単独飼育で標準体長およそ9cmに成長した個体のときは酸素消費量が増加したが, これらの飼育で攻撃行動を示さなかった個体あるいは標準体長がおよそ9cmに達しない個体のときは酸素消費量が減少したか, もしくは変化を示さなかった。アユの酸素消費量に及ぼす群効果には成長段階による相違があり, 酸素消費量の増加の興奮効果はアユのすみわけと攻撃行動習性に由来し, 酸素消費量の減少の安静効果は群行動習性に起因すると云えよう.

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