1985 年 32 巻 1 号 p. 100-103
道央地方の石狩川水系と道東地方の別当賀川から, 腹棘の欠失したエゾトミヨPeegitius tymensisが見いだされた、7支流を調査した石狩川水系では, ルルマップ川で腹棘を欠く個体の比率が最も高く, 半数以上の個体が両方, または片方の腹棘を欠いていた.一方, 腹棘を欠く個体が, まったく出現しない支流もあった.道東地方の別当賀川では, 片方の腹棘を欠くエゾトミヨが1個体採集されたにすぎなかった.道北地方の2河川では, 腹棘を欠く個体はまったく出現しなかった.
腹棘の欠失は性とは無関係であり, また, 腹棘の欠失に伴って他の計数的形質が平行的に変異することもなかった.