1985 年 32 巻 2 号 p. 143-179
北太平洋からドロカスベBathyraja hubbsiと, ソコガンギエイB.pseudoisotrachysを新種として記載した.ドロカスベは体盤に肥大棘thornがなく, 尾部肥大棘が等間隔に配列せず, 背面全域が小棘prickleにおおわれることで, キタノカスベB.violaceaに最もよく似ている.両種は背面の斑紋, 尾長, 交接器の構成要素, 腹椎骨数で区別される.田中 (1927) は室蘭から得た標本を誤ってRaja isotrachys Güntherとして記載していたことが判明した.従って前者ソコガンギエイは新種となり, 後者はチャレンジャーカスベ (新称) とした.ソコガンギエイは背面の大小の棘の分布と, 2個のcleft, terminal bridge, ridgeといった特異な交接器の構成要素で, 他の北太平洋産ソコガンギエイ類と区別される.B.kincaidiiはベーリングカスベB.interruptaの同物異名とした.チヒロカスベB.abyssicolaとヤスダカスベ (新称) B.trachuraの詳細な記載をした.本研究では北太平洋産ソコガンギエイ類を暫定的に21種と認め, その改訂検索表を作製した.