抄録
三宅島の伊ケ谷湾においてタカノハダイとミギマキの垂直分布, 昼間の行動パターン, および食性を調査し, 両種で比較した.両種の生息場はかなり重複しており, 水深によるすみわけは見られなかった.また, 昼間の行動パターンにおいても明瞭な差は見いだされなかった.タカノハダイとミギマキはともにヨコエビ類や十脚類などの小型底生無脊椎動物を食べ, 餌生物の種類においてはかなり重複していた.しかし, 消化管内容物における各餌生物の量的割合においては種間で多少差が見られた.従来, Goniistius亜属魚類は夜間に摂餌すると言われていたが (Randall, 1983), タカノハダイとミギマキでは昼間に摂餌することが明らかとなった.