魚類学雑誌
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形態からみたサバヒー仔稚魚の遊泳・摂餌機能の発達
多紀 保彦河野 博原 士郎
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1987 年 34 巻 2 号 p. 198-208

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抄録

仔稚魚の形態に基づいて, サバヒーChanos chanosの遊泳・摂餌機能の発達を検討した.約6.5mm SL以下の仔魚では, 鰭支持骨と鰓弓は発達原初期の段階にあり, 脊索末端も未だに屈曲していなかった.垂直鰭の支持骨・鰭条と鰓弓は約6.5mm SLから急速に発達し, 約10.5mm SLで全要素が出現した.それに続いて体高の変化と対鰭の支持骨・鰭条, 鰓耙の発達が始まり, これらの変化・発達は約17mm SLでほとんどあるいは完全に完了して稚魚期に入った.この時までに遊泳様式はS字型遊泳から尾鰭推進に, 摂餌様式は微粒餌料の呑込みから鰓耙と上鰓器官を用いた底生餌料の濾過・集積へと変化した.サバヒー仔魚は砕波帯に大量に出現するが, 形態・機能発達からみて, 産卵場からの来遊が, 少なくとも着岸間近までは, 仔魚の積極的回遊によるものとは思われない.15-16mm TL以上の仔魚の砕波帯からの完全な消失が食性の変化と関連していることは明らかである.

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