魚類学雑誌
Online ISSN : 1884-7374
Print ISSN : 0021-5090
ISSN-L : 0021-5090
三浦半島油壺湾におけるハオコゼの日周摂餌様式
馬場 治佐野 光彦
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 34 巻 2 号 p. 209-214

詳細
抄録

三浦半島の油壺湾において, ハオコゼを一昼夜にわたって採集し, 本種の摂餌時刻と胃内容物組成の経時変化を調査した.夜間の調査個体においては, 体重あたりの胃内容物重量の比率は高く, 空胃率はきわめて低かった.一方, 昼間には夜間とはまったく逆の傾向が認められた.このことから本種は昼間よりも夜間に活発に摂餌を行うものと考えられた.本種の餌生物としてはヨコエビ類が最も重要であり, 次いで等脚類やワレカラ類が多く出現し, この3種類の餌生物だけで全餌生物中の91% (個体数百分率) を占めた.胃内容物中に占める割合の昼夜変化が最も大きかった餌生物は等脚類であり, 昼間にはほとんど出現しないが, 夜間には全餌生物中の約30%を占める重要な餌生物となっていた.

著者関連情報
© 日本魚類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top